【プロ講師が解説】防衛医科大学医学科合格に向けた勉強法・参考書ルート

難関大学対策

みなさんこんにちは。愛大研ハイスクールの中村です。

医学部入試の中でも特殊な位置づけを持つのが、防衛医科大学校です。

入学後は防衛医科大学校の学生(=自衛官候補生)として学び、卒業後は医師免許取得と同時に自衛隊の医官として勤務するという、他大学医学部にはないキャリアが待っています。

入試制度も独自で、一次試験は学力試験、二次試験では面接や身体検査などが課されるため、学力だけでなく人物面・適性面も評価対象となります。

さらに一次試験の学力試験は、問題の分量に比べて制限時間が非常にシビアで、時間配分や解答順序といった戦略の立て方が合否を大きく左右します。

そこで今回は難関大学向け予備校講師であり、実際に防衛医科大学に合格経験を持つ私が

防衛医科大学校の入試傾向や難易度を整理したうえで、数学・国語・英語・理科の参考書ルートを具体的に紹介します。

防衛医科大学の出題傾向|入試難易度

出題傾向と制限時間

各科目ごとの主な出題傾向は以下の通り。

数学の出題傾向

試験時間は90分で難易度は標準〜やや難レベル。
択一問題、記述問題(1題)が同時に出題される。択一問題で足切りがあるので注意が必要。択一は易しい問題が中心だが、計算量が多くかなりのスピード感が求められる。
記述式問題は択一に比べて難易度がかなり高い。ただし過去問と類似しているものが多いので過去問対策が有効。
全体的を通して計算量が多く、数学がかなり得意でないと全てを解き切るのは難しい。ただし、7割程度はよく見る標準問題なので数学が苦手な人でも7割の得点率は目指したい。

英語の出題傾向

試験時間は90分で難易度は標準〜やや難レベル。
択一問題、記述問題がある。語彙、文法、読解、和訳、整序英作文、アクセント問題と出題のバリエーションが多いのが特徴。
長文は文構造が複雑で読みにくい英文はほとんど出題されていないが、多くの受験生にとっては馴染みのないであろう単語や表現が目立つ。特に整序英作文では狙って受験生に馴染みのない表現を出題していると思われる。医系に限らず自然科学系からの出典が多いので、読み慣れておく必要がある。全体的に高い語彙力と読解スピードを必要とされる問題構成なので語彙力の強化に重点を置いた多読が有効である。苦手な人でも最低6割は得点したい。

国語の出題傾向

試験時間45分で現代文1題のみ。
難易度は理系の受験生にとってはかなり高い。熟語や慣用句、文学史に関する知識問題なども出題される。課題文の分量がかなり多く、記述式の問題もあるため、時間もかなりシビアである。時代の古い小説の問題が多く読みにくいと感じる受験生が多いと思われる。
形式は共通テスト現代文のような選択問題が基本であるが、設問数が多いため共通テストよりも早いスピード感が求められる。また共通テストに比べて解答の根拠を読み取りづらいものが多く、自信を持って正解だと判断できる問題が少ないのが特徴。
とにかく時間がないので、1問1問に時間をかけずに最後まで解き切ることが重要。過去問を多めに解くと解答の選択肢を選ぶ嗅覚が身についてくるので過去問演習が重要。
記述問題では漢字と内容説明問題が出題される。漢字は簡単なものが多いので確実に得点したい。
内容説明問題は100字程度の記述をする必要があり、理系受験生にとってはハードルが高い。私は毎回7分〜10分の記述時間を要したので最低このくらいの時間は確保しておきたい。

物理の出題傾向

理科2科目で120分。難易度は易〜やや難で、設問ごとのばらつきが大きい。
基本的には標準的な問題が多く、年度によっては満点も狙える。最初の大問で計算問題が出題されるが、音速などの知識が必要な問題もあるので注意が必要。力学、電磁気学中心の問題構成で、原子分野からの出題がほとんどないのが特徴。
一部近似やレベルの高い計算を要する問題も含まれるので、できれば最低限の微積分の知識はつけておきたい。ただし教科書をしっかり理解して、標準的な問題集を何度もやりこんでおけば物理が足を引っ張ることはないと思われる。苦手な人でも7割以上の得点率を目指したい。

化学の出題傾向

理科2科目で120分。難易度は標準〜やや難。
制限時間に対して問題数がかなり多い。全範囲から満遍なく出題される。
近年は全体的に標準的な問題構成であるが、大問2題程度は難問であることが多い。初見の実験に関する記述問題も出題され多くの受験生にとって正答が難しいと思われる出題もある。時間がタイトなので、典型問題を確実に解き、難問は後回しにする作戦が有効である。
また受験日の10月は多くの高校生にとって有機・高分子分野は手薄になりがちである。学校によってはまだ未履修の場合もあるだろう。有機・高分子分野からも必ず出題があるので教科書や講義系の参考書で夏休みが終わるまでに先取りをしておくこと。教科書内容を暗記し、典型問題さえ確実に完答できるようにしておけば6〜7割の得点は可能である。

生物の出題傾向

理科2科目で120分。難易度は標準的なものが多いが難問も出題される。
考察系の問題が多く出題される。また記述式では論述問題が出題されるため対策が必要。多くの受験生にとって馴染みのない実験や最新テーマの問題も出題されるため、求められる知識のレベルがかなり高い。
分子生物学寄りのテーマが多いので書籍やニュースで情報収集することが有効。ブルーバックスシリーズなどの新書系が受験生にとっては取り組みやすいのでおすすめである。夏休みに入るまでに教科書を一通り覚えておきたい。最低6割の得点率を目指したい。

入試難易度と偏差値・配点

偏差値は67.5(河合塾Keinetによるボーダー偏差値)。
定員に対して受験者数が多いのが特徴です。

過去3年間の倍率(旺文社調べ)

2025年度 2024年度 2023年度
14.9倍 17.4倍 17.5倍

(参考:旺文社パスナビ)

さらに一次試験の入試問題も難易度が高いものが多く、かつ例年10月に実施されるため、合格難易度はかなり高いと言えます。

また受験資格には年齢に18歳以上21歳未満という制限があるため、実質2浪の受験生までが試験を受けることができます。

各科目の配点は公表されていません。そのため偏りなく全科目を勉強しておきましょう。

(参考:河合塾 Kei-Net)

防衛医科大学校合格に必要な勉強法とは

1.典型問題を徹底的にインプット

難問を出題することの多い防衛医科大ですが、大部分は典型問題で構成されていますし、制限時間を考慮すると難問の正答率が合否に与える影響は少ないと予想します。皆が解ける問題を確実に素早く解けるようにしておきましょう。私の場合は夏までに全科目で典型問題を完璧に解ける状態にしておいたので、9月の時点で過去問が7割以上得点できるようになりました。

2.必ず過去問を分析する

全体的に形式や内容が独特なので、過去問慣れしておく必要があります。特に国語や英語では過去問に触れておかないと本番で面食らってしまう可能性が高いです。また過去問と類似の問題が出題されることがかなり多いのが防衛医科大学の特徴です。最低10年分は遡って過去問を分析してください。ただし2022年度入試から出題形式が大きく変更されているので注意が必要です。

3.試験直前まで知識のメンテナンスを

全体を通して防衛医科大学は要求される知識のレベルが非常に高いです。例えば英語では他大学と比較して語彙レベルが高い問題が多く、長文内容も受験生には馴染みのない医療や宇宙など自然科学系のものが多いです。化学では初見の実験に対する論述、生物では最新テーマの実験などが多く出題されます。教科書や単語集の暗記は大前提として、日常的に書籍やニュース等で知識を蓄えておくことが有効です。私は日常的にブルーバックスシリーズなどの新書を読んで対策していました。

 

【科目別】防衛医科大学合格に向けた参考書ルート

数学の参考書ルート

典型的な標準問題が中心ですが、作図を要する問題も多く出題されます。教科書で基本事項を習得した後はとにかく典型問題のインプットに取り掛かろう。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル
  • 文系の数学 重要事項完全修得編
  • 数学Ⅲ・C重要事項完全修得編
基本的な典型問題が詳しい解説つきで網羅してある。教科書レベルを終えた医学部受験生には最適。問題数も絞られており、(例題158、演習題115)短期間で一周できるのもおすすめポイント。まずはこの2冊を完璧に仕上げたい。
合格レベル
  • 入試数学 解法のセオリー
  • 数学の真髄 論理・写像編
防衛医科大学レベルの入試問題演習に最適な解法のセオリー。また記述問題も必ず出題されるため数学の真髄で手早く論理を学習して全体的な記述の厳密性や数学力の向上を図りたい。数Ⅲ分野に関しては以下を参照のこと。
数学Ⅲ・C最重要問題80 入試頻出の典型題や学習効果の高い問題が網羅されている。解説も丁寧で論理的な部分もきちんと議論されていることがポイント。このレベルが完璧に解けるようになれば十分合格水準に達していると思われる。

 

英語の参考書ルート

バランスよく勉強しましょう。文法、語彙、和訳、整序英作など問題のバリエーションが多いです。ただしその中核にあるのは語彙力なので語彙を集中的に鍛えよう。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル
  • 学校配布の単語集+辞書
  • 総合英語(ultimateがおすすめ)
全ての基本となります。これらで入試の基本となる語彙と文法事項を徹底的にインプットしましょう。単語を覚える際や知らない単語に遭遇した際は辞書を引くこと。一語一訳覚えることは当然として、単語の用例(どんな形でどんな語とセットで使われることが多いか)を知っておかないとその単語の1割も知っていることにならないということの注意しよう。
合格レベル
  • 大学入試 無敵の英単語PINNACLE420
  • 大学入試 飛躍のフレーズIDIOMATIC300

基本的な語彙力を着けたあとに更に語彙力の強化に努めよう。これらの本は単なる単語集、熟語集ではなくよく使われるフレーズに焦点をあてて書かれており、読解力や精読力も身につく作りとなっている、まさに防衛医科大学校対策にピッタリの本である。

・難関大に合格する英文解釈Code70

・Vision Quest Insight

和訳問題や精読に関してはcode70で、その他の文法、英作文対策はInsightで行うことをおすすめする。前者は比較的短期間で入試頻出の構文を一通り学習できる作りとなっている。難易度も標準〜難レベルなので防衛医科大対策にはぴったり。

Insightは基本的な文法問題を全て空所補充、整序英作文形式で学習することが出来る唯一無二の本。

 

国語の参考書ルート

知識問題+読解(記述あり)の構成で、古文漢文は2022年度以降出題されていません。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル 教科書

教科書に載っている慣用句や文学史などは一通り抑えておこう。重箱、湯桶読みに関する問題なども出題されるため、熟語に関する知識などもおさえておこう。

合格レベル ・学校配布の単語集

・現代文読解の基礎講義

疎かにされがちであるが現代文の読解にも語彙力が不可欠である。学校配布のもので良いので、現代文の頻出単語や熟語、漢字がまとめられた単語集に取り組んでおこう。また漢字の書き取り問題も出題されるため、読めるだけでなく書けるように訓練しておこう。

また現代文読解の基礎講義は非常にシステマチックに記述の仕方や選択肢の選び方が1冊にまとまっている。

・防衛医科大過去問

特に選択問題が独特であるため、過去問演習で正解の選択肢を判断する嗅覚を身につけておく必要がある。センターや共通テストと比べてかなり選択肢を選びにくい。

 

物理の参考書ルート

難問も出題されますがほとんどが典型題です。試験時間も短いので典型題から確実に処理していこう。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル 物理教室

基本知識をきちんと体系化しておこう。この1冊で入試に必要な定理、公式、最低限の例題が一通り学べる。また証明出来る定理や公式は全て導き方が書いてあるため、防衛医科大の記述対策にも充分対応できる。

合格レベル ・セミナー物理

・良問の風

基本的な典型問題はこの2冊でしっかり網羅できる。ここのレベルの問題が全て解けるかに合否がかかっている。ありがちなのはこの辺りの問題演習を飛ばしていきなり重要問題集などに取り掛かることであるが、重要問題集は解説が合理的でないものが多い上に難易度の高い問題が多いので、迂闊に手を出すのは危険である。

・標準問題精講

・過去問

少し難しめの標準問題が網羅されており、解説がかなり丁寧。防衛医科大に出題される難問はこの程度のレベルなので、上記2冊が完璧になってから遅くとも夏休み中に仕上げておきたい。また防衛医科大は傾向が例年似ていることが多いので、過去問対策もしっかり行おう。

 

化学の参考書ルート

標準レベルの問題が中心ですが、論述問題では初見の実験や反応に対する考察を求められることがあります。単なる丸暗記は避け、現象の根底にある反応は何か、理解を伴った暗記を心がけよう。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル 教科書

教科書の知識は完璧に仕上げておこう。受験生が1番疎かにするのがこのインプット。全体の4割程度が知っていれば楽に解答できる問題であるので、インプットを最優先で行おう。

合格レベル ・鎌田の化学シリーズ

こちらもインプット本ではあるが特に例題のチョイスが群を抜いて優れている。どこを重点的に覚えれば良いか全範囲にわたり書かれていて、教科書の知識と入試問題をうまく橋渡ししてくれる参考書。

・合格のためのマスター問題集

・過去問

解説がかなり丁寧で、かつ問題の網羅性も高い。例題全てに練習問題が付いているので、重要問題集等よりかなり取り組みやすく、到達度も高い本。このシリーズを完璧にこなせば問題演習は充分である。

 

生物の参考書ルート

考察問題が多く、論述も出題されます。難易度は標準的なものが多いですが制限時間が非常にタイトです。必要に応じて取捨選択しよう。

参考書名 おすすめ理由
基礎レベル 教科書

教科書の知識は完璧に仕上げておこう。太字部分だけではなく、実験の手順や考察、器具の扱い方もおさえておこう。

合格レベル ・大森徹の最強問題集

論述問題、計算問題が豊富で、網羅性も高く解説も非常に詳しい。少し難しいと感じる事も多いかもしれないが解説も含めてインプットするつもりで学習しよう。

・過去問

比較的傾向がはっきりしている大学なので過去問演習がかなり有効。体内環境や遺伝など、分子生物学寄りな出題が多い。

面接対策も欠かさず行おう

愛大研 推薦入試

防衛医科大学では二次試験に面接試験が課されています。
学力試験だけでは補いきれない「人間性」「コミュニケーション能力」「医官という職務への理解と意欲」などを評価されます。したがって、「面接対策」は合格への不可欠なステップです。
面接対策としておすすめするのは、代々木ゼミナール「医学部合格ノート」です。全国の医学部の面接形式や過去にされた質問がかなり詳細に記載されているほか、
自己PRや典型的な質問への答え方とその構成の組み立て方が丁寧にガイドされており、自己分析の助けになります。

面接対策で必ずしておくこと

  1. 自己分析と志望理由の明文化

    自分が医師を目指す背景、防衛医科大学を選ぶ理由、将来の展望など明確にしておこう

  2. 面接シートの準備・練習

    当日持参するための面接シート(志望理由・自己PR・活動歴など)を作っておこう

  3. 模擬面接を繰り返す

    複数名の面接官を想定した個人面接、討論、その後の質問への深掘りまでを含めた模擬練習を。録画して自分の話の流れ・表情・態度を客観的にチェックすると良い。また圧迫面接をされても動じないように練習しておこう。

  4. 知識のインプット

    防衛医科大学のアドミッションポリシーや学費の制度や自衛官、医官制度を正確に把握しておこう。

     

逆転合格塾愛大研ハイスクールで防衛医科大学を目指そう

愛大研ハイスクール

いかがでしたか?紹介した勉強法や参考書ルートはあくまで一例であり、勉強法は十人十色です。
万人に共通する完璧な勉強法など幻想に過ぎません。防衛医科大学校合格には適切な指導者のもと、正しいやり方で適切な量をこなす必要があります。
特に自己PRや志望理由、面接対策などは独学では不安が残りやすい部分ですが、プロの講師から的確な指導を受けることで、合格可能性を大きく高めることができます。

愛大研ハイスクールでは

  • 医学部入試を突破した講師による防衛医科大の出題傾向に即した効率的な学力養成

  • プロ講師による自習コンサルティングの徹底した自習管理

  • 防衛医科大学をはじめとする医学部入試で合否を分ける面接指導

このような学力・面接・学習管理の三本柱をすべて網羅した指導体制で、あなたの医学部合格を強力にサポートします。

 

最後にもう少し詳しく私の所属する愛大研ハイスクールの紹介をします。

愛大研ハイスクールとは

  • 指導歴5年以上のプロ講師 or 愛媛大学医学部合格者のみが指導
  • 自習コンサルティングで日々の学習をプロ講師が徹底管理
  • 全ての授業を完全1対1で実施

E判定からの逆転合格をスローガンとする学習塾愛大研から生まれた、新ブランドの学習塾です。

完全1対1の個別指導に、自習コンサルティングを組み合わせた“ハイブリッド型”の学習スタイルが、志望校合格への最短ルートを支えます

 

そして愛大研ハイスクールでは「まずは雰囲気を知りたい」という方のために、無料体験授業をご用意しています。
授業後には面談や相談の時間も設けてありますので、お気軽にお問い合わせください!

無料体験授業のお申し込みはこちら

コメント