こんにちは、愛大研公式ブログ編集部の武智です。
愛媛県立高校において、2025年度入試から導入された特色入学者選抜についてご存知でしょうか。
これまで愛媛県立高校の入試で実施していた推薦入試が廃止され、来年からは特色入学者選抜が始まったのです。
学校や学科によっては特色入学者選抜に代わるタイミングで募集人数が約2倍に増えました。
視点を変えると、
2025年度入試から一般入試の募集人数(定員)が減少しているということですね。
「従来の推薦入試より合格できる生徒が増える?」
「高校受験対策が難しくなったのでは?」
このような声も聞こえてきますが、実際のところどうなのでしょうか?
今回の記事では、愛媛県立高校特色入試について徹底解説していきます。
正しい情報を入手し、正しい学習計画に役立てましょう!
愛媛新聞取材記事
→【変わる大学受験】推薦入試で合格するには 松山市の学習塾が愛媛大学を徹底分析
愛媛県立高校特色入試の出願資格・試験科目
特色入学者選抜とは、学力のみならず受験生の個性や能力を総合的に評価する選抜方法のことです。
令和6年度まで愛媛県の高校入試では全く馴染みがない言葉でしたが、実は既に数年前から導入されていた県もあります。
愛媛県では2025年度入学者選抜(2024年度に中3の生徒)から、推薦入試を廃止して特色入学者選抜が導入されました。
愛媛県における特色入学者選抜の特徴は大きく分けて下記の3点です。
- 学校長の推薦が不要
- 試験科目は「小論文」「面接」「プレゼンテーション」など
- 募集人員の増加
それぞれ解説していきます。
出願資格
従来の推薦入学者選抜(推薦入試)では、学校長からの推薦が必要です。
つまり、中学生活の中で優秀な成績を収めたり、スポーツ・文化活動で結果を残していたりすれば学校から推薦してもらえるという仕組みです。
それに対し、特色入学者選抜では学校長からの推薦が不要で、高校の求める条件(バー)を満たせば受験することができるようになります。
内申点や学力だけでなく、高校での学習意欲や学力以外の能力などをアピールしやすくなるという特徴があります。
例えば松山北高校の特色入学者選抜を受験する場合は、次の1、2のいずれかに該当している必要があります。
1. 第3学年の5教科の評定平均が3.6以上で、以下の⑴、⑵のいずれかに該当する者
⑴ 校内外の文化活動・奉仕活動において、県代表レベル以上の顕著な成果を収めた者
⑵ 校内外のスポーツ活動において、以下のいずれかに該当する者
・県大会ベスト4以上の成績を収めた者
・「愛顔のジュニアアスリート認定者」
・「ネクストエイジ育成強化選手」
・県代表(選抜)選手に選ばれた者
2. 第1学年から第3学年の5教科の評定平均が4.0以上の者
例えば松山北高校は小論文と面接を受けることになります。
また、配点の比率も高校によって異なり、松山北高校なら
調査書:小論文:面接=6:2:2
になります。
また、学校によっては英検などの資格が必要な場合もあります。
英検などの資格が出願の条件になっている学校は次の通りです。
準2級以上 | 3級以上 | 級不問 | |||
学校名 | 学科 | 学校名 | 学科 | 学校名 | 学科 |
新居浜東 | 普通 | 川之江 | 普通 | 新居浜商業 | 商業 |
西条 | 普通 | 三島 | 商業 | ||
西条 | 国際文理 | 小松 | 普通 | ||
松山南 | 普通科 | 松山商業 | 商業 | ||
理数科 | 流通経済 | ||||
松山中央 | 普通科 | 地域ビ | |||
情報ビ | |||||
吉田 | 普通 | ||||
工業 |
※必ずしも必要というわけではありません。詳しくは下記の記事をご覧ください。
関連記事→特色入試に英検準2級は必要?【愛媛県立高校特色入学者選抜】
英検ではなく漢検や数検でも大丈夫です。
詳細は各学校の募集要項をご覧ください。
試験科目
試験科目は多岐に渡り、下記のような科目が候補となります。
- 面接(集団討論)
- 小論文
- プレゼンテーション
- 実技テスト
- 作文
また、試験科目は各高校が選択することができます。
つまり受験する高校によって試験科目が異なるのです。
例えば松山北高校は小論文と面接を受けることになります。
また、配点の比率も高校によって異なり、松山北高校なら
調査書:小論文:面接=6:2:2
になります。
まとめ
松山北高校に特色選抜で合格したいのであれば、主要5科目の評定平均が4.0以上ないといけないことが分かりました。
ただし、スポーツ活動などで優秀な成績を収めた場合は3年次の評定平均が3.6以上あれば受験できます。
全体的にスポーツ活動の成績や取り組みが重視されるようですね。この辺りは高校によって大きく特徴が分かれる部分だと思います。
あなたの志望する高校の情報も、ぜひ確認してみてください。
愛媛県立高校特色入試の募集人員・倍率
特色入学者選抜では、従来の推薦入試に比べて募集人員が全体的に増加しました。
学校や学科によっては募集人数が約2倍に増えています。
視点を変えると、2025年度入試から一般入試の募集人数(定員)が減少しているという風にも言えます。
実際に各高校の募集人員や倍率を確認してみましょう。
募集人員
まずは募集人数について、東予、中予、南予に分けて確認していきましょう。
まずは東予地区です。
引用:愛媛県模試 愛媛県立高校・学科 内定合格者数と一般入試枠
こちらの表は愛媛県模試のサイトから引用しております。
次は中予地区です。
引用:愛媛県模試 愛媛県立高校・学科 内定合格者数と一般入試枠
最後に、南予地区の高校を確認しましょう。引用:愛媛県模試 愛媛県立高校・学科 内定合格者数と一般入試枠
募集人数全体における特色入学者選抜の割合は、全体的に20~50%ほどとなっていることが分かります。
高校によっては定員の半分が特色入学者選抜で合格するということになりますね。
倍率
次に、令和7年度入試の実質の倍率も確認してみましょう。
→令和7年度県立高校特色入学者選抜の情報はこちら
学校名 | 学科名 | 募集人数 | 志願者 | 内定者数 | 実質倍率(倍) |
北条 | 総合学科 | 60 | 33 | 33 | 1.0 |
松山東 | 普通 | 47 | 148 | 50 | 3.0 |
松山南 | 普通 | 32 | 131 | 35 | 3.7 |
理数 | 6 | 10 | 6 | 1.7 | |
デザイン | 40 | 87 | 48 | 1.8 | |
松山北 | 普通 | 72 | 200 | 73 | 2.7 |
普通 | 12 | 12 | 12 | 1.0 | |
松山中央 | 普通 | 54 | 104 | 57 | 1.8 |
松山工業 | 機会 | 16 | 35 | 16 | 2.2 |
電子機械 | 16 | 44 | 16 | 2.8 | |
電気 | 16 | 29 | 16 | 1.8 | |
情報電子 | 16 | 18 | 16 | 1.1 | |
工業化学 | 16 | 30 | 16 | 1.9 | |
建築 | 16 | 51 | 16 | 3.2 | |
土木 | 16 | 43 | 16 | 2.7 | |
繊維 | 16 | 24 | 16 | 1.5 | |
松山商業 | 商業 | 32 | 68 | 32 | 2.1 |
流通経済 | 48 | 132 | 48 | 2.8 | |
地域ビジネス | 16 | 25 | 16 | 1.6 | |
情報ビジネス | 48 | 135 | 48 | 2.8 | |
東温 | 普通 | 72 | 102 | 74 | 1.4 |
商業 | 40 | 24 | 24 | 1.0 | |
上浮穴 | 普通 | 9 | 13 | 11 | 1.2 |
森林環境 | 9 | 16 | 16 | 1.0 | |
伊予農業 | 生物工学 | 16 | 24 | 16 | 1.5 |
園芸流通 | 16 | 16 | 16 | 1.0 | |
食品化学 | 16 | 25 | 16 | 1.6 | |
生活科学 | 16 | 20 | 16 | 1.3 | |
環境開発 | 16 | 16 | 16 | 1.0 | |
特用林産 | 16 | 13 | 13 | 1.0 | |
伊予 | 普通 | 50 | 130 | 51 | 2.5 |
松山東高校、松山南高校、松山工業高校などは倍率が3倍を超えていますね。
特色入学者選抜は従来の推薦入試と違い、条件さえ満たせば学校の推薦なく誰でも受験することができます。
そのため、「とりあえず特色入学者選抜も受験しておこう」という方が多く、倍率も高くなったものと思われます。
逆に言えば、全員が「3年間しっかり対策し続けてきた受験者」というわけではありません(もちろんその学校の受験難易度にもよります)。
令和8年度以降の入試においても、倍率が大きく下がることはないのではないかと思われますが、「3年間頑張り続けてきた受験生」の人数でいえば、従来の推薦入試の受験者数と変わらないと予想しています。
つまり中学1年生の内からしっかりと受験対策をしておけば、特色入学者選抜に変わって倍率が高くなったといって、特別心配する必要はないと思われます。
特色入学者選抜の受験をおすすめする生徒とは
近年は受験において、多様な能力が評価されるように変化してきています。
では、なぜ愛媛県では特色入学者選抜のような選抜方法に切り替わるのでしょうか。
結論から言えば、筆記試験だけでは測れない力を評価するためです。
理科や社会の内容を暗記するのも大事ですが、高校で学習するにあたり、実技能力や高校での学習意欲も大切です。
特色入学者選抜ではそのような観点から受験生を評価することができるようになるのです。
やる気や学習意欲のある生徒を評価する
一般入試では内申点(評定)と当日の学力点が評価の大半を占めます。
一方で、推薦入試や特色入学者選抜などは学力以外の部分も評価されやすい入試形態と言えます。
ただし従来の推薦入試は、中学校内の限りある推薦枠を勝ち取って学校長から推薦してもらう形式でした。
そのためには定期テストなどで高得点を取ったり、内申点(評定)を上げられるように中学校生活で頑張ることが最重要でした。
その反面、特色入学者選抜は受験生自身が自己推薦する未来志向の受験形式です。
中学生活での頑張りも大事ですし、自分自身がアドミッションポリシー(高校の求める生徒像)に沿っている人物で、かつ高校生活で頑張る意欲を持っていることをアピールすることも重要になります。
こうした理由から、
受験生は自分の学習意欲を評価してもらいやすくなりますし、
高校は高校側が求める人物像に該当するやる気のある生徒を選抜できるというメリットがあるのです。
例えば松山南高校を志望している場合は
中学1年生のときから評定平均が高くなるように勉強を頑張り続けるのはもちろんのこと、英検準二級の取得や奉仕活動などにおける実績を作っておくことで
「松山南高校に入学したい」
という意欲を評価してもらえるようになる、ということですね。
筆記試験では測れない力を評価する
特色入学者選抜では、実技試験やプレゼンテーションなど、一般入試にはない科目が指定される場合があります。
受験生からすると、
主要科目の勉強だけでなく、将来に向けた学習意欲や専門知識(能力)、プレゼンテーション能力など筆記試験だけでは測れない力を総合的に評価してもらえるようになります。
高校からすると、
単純に学力があるかどうかだけでなく、スポーツや芸術など目指している進路に必要な実技能力を持った生徒に入学してもらいやすくなります。
試験科目によっては「勉強は苦手だけど実技は得意!」という生徒には有利に働く可能性が高いですね。
また、3年間勉強を頑張り続けて評定平均を高く保ってきた生徒にも有利になっています。
コツコツ頑張った努力を認めてもらえる入試とも言えますね。
愛媛県立高校の特色選抜合格に向けた対策
では、特色入学者選抜に向けてどのような対策をすればいいのでしょうか。
長期的な対策
長期的に考えれば、下記の3つが欠かせないでしょう。
- 部活動や文化活動などを頑張る
- 内申点(評定)を上げる
- 思考力を鍛えたり、人前で話す経験を積んだりする
後述しますが、実は大学入試においても似たような入試制度(総合型選抜)が設けられています。
学校によっては受験校が定める内申点を越えていないと受験できません。
愛媛県の特色入学者選抜においても同様に内申点(評定)の基準が設定されているため、中学1年生からの内申点はなるべく高く確保し続けるようにしましょう。
どのような入試形態においても、内申点(評定)の確保は大切ということになりますね。
愛媛県の入試において内申点が重要な理由は別の記事で解説していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
参考記事→【愛媛県立高校受験】内申点(調査書点)が超重要な理由とは
短期的な対策
受験が近づいてきたら、下記のような対策を行いましょう。
- 入学願書や自己アピール書の添削
- 面接練習
- 小論文の記述練習
これらはほんの一例です。
受験に必要な科目に応じて変わりますので、受験校の募集要項を確認してみて下さいね。
大学入試でも多様化する受験方式
ここまで愛媛県の高校で導入される新制度「特色入学者選抜」について解説してきました。
実はこのような入試形態の変化は、大学入試にも見られます。
例えば数年前に「センター試験」が廃止され「共通テスト」に切り替わりました。
共通テストはセンター試験に比べ、思考力や判断力が必要とされます。
つまり、知識を丸暗記するだけでは通用しなくなってきているのです。
また、学校推薦型選抜や総合型選抜を採用する大学が増加しています。
こちらは特色入学者選抜の大学入試版だと捉えていただいて差し支えありません。
関連記事→推薦・総合型選抜で愛媛大学を目指すなら!【入試科目/ 配点/ 対策を解説】
今後は大学受験も高校受験も、このような受験形態の変化に対応していくことが求められます。
しかし「これまでの試験対策が通用しない」と悲観的に捉える必要はありません!
むしろ、多様な受験形式のおかげで「自分にピッタリの入試方法で有利に合格を目指せる」と前向きに考えてみて下さいね。
そのためには受験の正しい知識を知り、あなたに最も合った方法で対策に取り組んでいくようにしましょう!
さいごに
いかがでしたでしょうか。
愛媛県の特色入学者選抜についての解説は以上となります。
志望校合格までの正しい計画を立て、実践していきましょう。
愛大研公式ブログでは他にも愛媛県の受験情報を各学校毎に詳しくまとめています。
ぜひ他の記事も参考にしてみてくださいね。
→愛大研公式ブログはこちら
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既に愛媛大学の推薦入試や総合型選抜に特化した専門クラスを開講し、開講後2年間で合格率8割を突破しています。
その指導経験や実績を元に、推薦入試の情報提供だけでなく、高校入試の小論文や面接などの実践的な対策も行なっています。
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